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2021.01.16

WORKS

舌接触補助床

以前、製作の依頼があった舌接触補助について紹介します。

こんにちは!フロアチーフの馬場です。

舌接触補助とは、舌の実質欠損や運動障害を原因とした機能障害により、舌と口蓋の接触が得られず、それにより摂食嚥下障害や構音障害を引き起こしている患者に対して用いる口腔内装置のひとつです。舌が口蓋に接触できないと、口腔から咽頭への食物の送り込みや舌音の構音が不十分となる。そこで、舌が十分に動かないのであれば 口腔内装着することで口蓋を擬似的に下げて舌が接触しやすくしようという考えのものです。歯の欠損がある場合は義歯型、歯の欠損がない場合は口蓋床型の形態をとる形になります。

今回、製作依頼があったものは歯の欠損がないものです。維持のため対合関係をみてワイヤー単純鉤を4ヶ所に付け、口蓋側をレジンアップして口蓋部を埋めるような形で口蓋床を製作したもので床後縁は長めに設定します。その後、重合、研磨して完成です。ここまでの製作方法は通常の義歯と同じです。歯の欠損がある場合は、まず通常の義歯を製作しますが部分床義歯であっても床後縁は長めに設定します。旧義歯を利用する場合もあるようです。

今回、弊社での製作はここまででしたが、この後先生の方で舌接触補助床の最大の特徴である口蓋部の形態を付与していきます。床の口蓋部に粘膜調整材などを用いて形態を決定します。一般的にティッシュコンディショナーを用いることが多いようです。粘膜調整材を口蓋部に盛り、硬化する前に嚥下運動や構音運動を実施させ、舌の可動域をみて粘膜調整材の増減を繰り返し、舌接触補助床の形態を調整します。これで一時完成となりますが、製作後も調整を継続し、形態を変化させる必要がなくなったところで粘膜調整材をレジンに置き換えて完成となります。これまで舌接触補助床は、口腔外科がある大学など専門的な病院での作製が一般的でしたが、病院歯科や訪問歯科診療の現場で対応する機会が増えてきているようです。保険診療での対応も可能です。

今後の経過もまたブログの記事にしたいと思っていますのでよろしくお願いします。

馬場